「にきび・吹き出物の症状と漢方薬」
にきびは、主に思春期の男女の顔面に生じる、毛包一致性の丘疹、のう胞を指しています。
原因には、男性ホルモンによる皮脂腺の分泌亢進や、ストレスや不規則な生活による自律神経の乱れ、食生活、化粧品等による刺激、月経周期によるホルモンの変化、遺伝的素因などが考えられます。
尋常性(赤ニキビ)、粉刺(白ニキビ)、のう胞性(黄ニキビ)などのタイプが見られますが、漢方では体質や食養生などの生活習慣も併せた治療法と予防を行います。
にきび・吹き出物のケーススタディ
あせらず、根気よく
青春のシンボルと言われるニキビ。顔に1つや2つ出ると愛嬌ものですが、たくさん出ると悩みの種となります。
22才Yさん、頬からアゴにかけて細かく紅い発疹が出て来店されました。痒みを伴い辛い様子でした。 便秘気味で月経不順、特に月経前に悪化すると言います。漢方薬で月経を整え、食事の指導とハトムギやドクダミのお茶を飲んで頂き半年間でずいぶんきれいになりました。
現代医学でのニキビ治療は、化膿を止める抗生剤の軟膏やビタミン剤などが使われていますが根治には至っていません。
漢方ではニキビを「面疱」と称し、比較的得意な分野でもあり、症状による漢方薬も多種あります。赤くブツブツしたニキビで化膿がない場合は清上防風湯、便秘を伴い化膿しがちな場合は防風通聖散、ジクジクしている場合は十味敗毒湯、月経時に悪化する場合は桂枝茯苓丸などをよく使いますが、これら幾つかの処方をうまく組み合わせることがポイントとなります。また皮膚が脂性の場合は体に熱がこもりやすい体質なので、五行草や板藍茶、ドクダミなどのお茶を使うなど、漢方では根本的に体質を変えていく事もあわせて行います。さらにニキビ跡を消すには、皮膚の代謝を促進することも必要となります。
日常生活では、皮膚を常に清潔にする、洗顔は丁寧にする、油濃いものを控える、特に甘いものを控えるなどを守ってもらう事が大事です。また、毎日の生活リズムの狂いや、ストレスも悪化要因となります。
あせらず、根気よく、総合的に続けることがきれいなお肌を得る秘訣です。
がんこなニキビ
体質から考えるニキビの原因は数タイプあり、状態や体型などで漢方薬を使い分けますが、なかなか理論どおりに行かないケースもあります。
36歳女性のDさん、アゴやフェイスラインにニキビが出始めて2年経過し、悪化してくるので相談にこられました。
便秘やストレスで悪化し、胃腸は丈夫で食べ物による影響は少なく、また生理周期による影響もないとのこと。ニキビは紅丘疹ができ、暫くすると白い脂質がでたり、化膿してくるというもの。
そこで赤みが強いので<血熱>と考え、<涼血清営顆粒>や<清上防風湯:商品名ベーラ>などを2ヶ月間使いましたがあまり良くならず、繰り返していました。そこで<十味敗毒湯>をベースにした処方に変更したところ、新しいニキビは出なくなり、徐々に改善してきました。その後<ヨクイニン>のエキスを加え、赤みもニキビ跡も改善しました。
十味敗毒湯は化膿性の湿疹などによく用いますが、この方の場合は赤みが強く、熱の証が強かったので<血熱>を優先させて考えたのですが、むしろ化膿=湿を考えるべきだったと後で思った例でした。
月経周期によって変わるニキビ
月経前後におけるホルモンのバランス変化により、皮膚の症状が変化しやすい方が女性の中にはよくいらっしゃいます。
28歳Yさんは、昔からニキビが治りにくく、月経前になると赤味が強くなり膿んでしまうとのこと。また、イライラが強くなったり胸が張ったりするとのことでした。
普段より便秘気味ということもあったので、疏肝解鬱や清熱解毒作用のある<加味逍遥散>を中心に飲んでいただくことにしました。
服用して半月ほどでニキビが出にくくなってきたものの、月経症状も気になっていたためそのまま継続して服用いただいたところ、2ヵ月程経った頃にはニキビはほとんど出なくなり、月経前の情緒不安定もなくなり、とても満足して頂けたようでした。
※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。