「乾燥肌の症状と漢方薬」
乾燥肌には内分泌系疾患や、先天性の皮膚病、後天性のリンパ腫などが原因となるものがありますが、ここでは原疾患を持たないもの、例えば栄養失調、内臓の機能低下、季節性の皮膚病、加齢によるもの、過労によるものなどが考えられます。
乾燥肌の中医学的考え方
漢方ではそのタイプにより処方を考えますが、主なものは皮膚まで充分栄養が補われない方に補血・養血薬を使い、加齢によるものは、補腎、活血薬などを加えます。また疲れやすく、肝臓の機能が低下した方には、補肝薬を組みあわせたり、老人性の皮膚痒症には滋陰薬を用います。
乾燥肌の漢方処方例
婦宝当帰膠 当帰飲子 八仙丸 田七人参
※体質により漢方薬は異なりますので、ご相談ください。
乾燥肌のケーススタディ
乾燥を潤す漢方薬
紅葉が始まり、空気が乾燥してくると、肌荒れやひび割れ、皮膚の痒み、乾燥感などのトラブルが発生します。アトピー性皮膚炎の慢性期の方は皮膚がザラザラしたり、厚くなったり、赤く熱を帯びてきます。また、空咳や鼻の乾燥が増えるのもこの時期です。漢方でこれらを『燥症』といいます。
A子さんは成人アトピーで来店されました。梅雨時期は湿度が高いため、肌も湿気を得て潤っていましたが、秋になり空気が乾燥してくると皮膚がカサカサになり指先がひび割れし、とても辛そうです。血熱(血液中にこもる熱)を去り、乾燥を潤す漢方薬「温清飲」を服用すると、肌にツヤが出てきれいになりました。
B男さんは全身が痒く、『老人性皮膚掻痒症』と診断され来店されました。皮膚には落屑(白い粉状)があります。これは末梢の血液不足により皮膚への栄養補給が充分でないため、乾燥して痒くなるのです。血液を増やし、皮膚を潤す「当帰飲子」がよく使われますが、ひどい場合は「紫雲膏」などの外用薬を併用すると良いです。
また、若い女性や主婦にも乾燥肌が多く見られます。食生活や空調など生活環境も影響していますが、こんな方には婦宝当帰膠を用いてしっとりとした肌を取り戻すことができます。
漢方ではこれらの根本原因は腎虚証(身体のエネルギー不足)にあると考えます。生まれつき弱い人や老人、慢性病の人がなりやすいです。この腎虚を改善する薬を「八仙丸」と言い、中国では不老長寿の薬として珍重されてきました。漢方で若返るのも夢ではありません。
女性の乾燥肌
冬になるとお肌の乾燥で悩む女性は多いようです。
漢方では乾燥に対する改善方法がいくつかありますが、主に「当帰」を含むものです。
当店で人気の<婦宝当帰膠>や<四物湯:商品名シモラ>などは女性にピッタシですし、また高齢者のかゆみを伴う乾燥には<当帰飲子>を用います。しかし他の薬を飲んでいる方は、これ以上薬は飲みたくないと言われますので、入浴剤をお勧めします。
57歳女性Nさん、以前から浮腫や便秘、更年期のトラブルでいろいろな漢方薬を服用されてきました。この冬はお肌がピリピリするので、薬以外で改善できないかとの相談でした。そこで<絹のしずく風呂>というセリシン(潤い成分)とハトムギオイル(エモリエント成分)が配合された浴剤をお使いいただきました。
3日後に来店され、『とても気持ちよく、臭くもないし、肌のピリピリも取れました』とのご報告。早い効果のあることに驚き、学ばせていただきました。
漢方では、耳は頭部にあり全身の陽気が集まるところです。充分に『気血がめぐる』と聴覚はよく機能を果たすとしています。また高齢化に伴う内臓機能の変化、またストレスも大きく影響します。
漢方薬は耳鳴りの状態により様々ですが、「耳鳴丸」や「柴胡剤」などはよく奏効し、鍼灸治療との併用もお勧めです。 昔から耳がよく聞こえ、目がよく見えることを『耳目聡明』」といいますが、老いても『耳目聡明』でいたいものです。
※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。