「胃痛・胃潰瘍の症状と漢方薬」
胃痛・胃潰瘍の中医学的考え方
胃痛の原因は多岐に渡りますが、漢方相談にこられるのは慢性的な痛みの方です。その原因としては以下のようなものがあります。
- 胃がいつも冷えている
- 消化機能が衰えている
- ストレスが原因となっている
西洋医学では、胃粘膜保護剤、消化剤、鎮痛剤などが使われますが、漢方では原因により処方が異なります。
冷えには人参や乾姜などが含まれる処方、消化機能には胃気を高める四君子湯の系統を、過食が原因なら胃中での停滞をとるものや消化促進の処方を、またストレス性には、ストレスに過敏に反応しないようにする柴胡剤を用います。さらに、粘膜の保護やストレスの影響を軽減する目的で、クマザサのエキスも用います。これは胃潰瘍の場合も同様に考えます。
胃痛・胃潰瘍の漢方処方例
安中散 開気丸 香砂六君子錠 芍薬甘草湯
※体質により漢方薬は異なりますので、ご相談ください。
胃痛・胃潰瘍のケーススタディ
胃痛も様々
胃痛の原因はたくさんあります。
西洋医学では診断の結果、胃炎や胃潰瘍、胃酸過多、ストレス性胃炎などの病名がつきますが、漢方では経過や症状から推察して対応を決めます。
54歳の女性Iさん、病院で食道裂孔ヘルニアと診断されました。これは横隔膜にある食道が通る穴から、腹腔内にあるべき胃の一部が胸腔側へ脱出している状態をいいます。そのため痛みが発生し、鎮痛剤を使うことで対応されていました。
症状を詳しく尋ねると、みぞおちがつまる、食べ過ぎると痛むなどで、漢方では<心下痞硬>、<脾胃気虚>ととらえ<香砂六君子湯>を使っていただきました。その後2週間で強い痛みは無くなり、空腹時の違和感や胃もたれが残るとのことでしたので、今度は<半夏瀉心湯>を継続していただきました。
胃腸疾患の社内研修会
元病院の院長先生に講師を依頼し、胃炎や胃潰瘍、ポリープ、胃ガン、大腸ガンなどの内視鏡写真をたくさん見せていただきながら解説を受けました。
以前はストレスや胃酸などにより潰瘍が起こると言われていましたが、最近はほとんどがピロリ菌と関連していることがわかってきました。そして除菌をすることによって再発を防げるようです。ただし、潰瘍の場合は保険適用で除菌ができますが、その他では自費になります。
ピロリ菌は子供の頃に食べ物を介して経口感染しますが、大人になってからは感染しにくいようです。また40歳以上の方の感染率は50%以上といわれ、子供の頃から大事に持ち続けているのですね。なお、除菌によって起こる副作用もありますのでいかに対応するかは考え物です。
(写真は日本消化器学会の資料より)
※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。