夜尿症

「夜尿症の症状と漢方薬」

夜尿症(おねしょ)について

夜尿症は、小児に日頃から良く見られます。
昔は病気のような扱いはせず、子供の成長過程として「仕方ないもの」とされていましたが、最近は、学校行事なども多くなり、心配されて病院に行かれるケースもあります。

西洋医学では、夜尿アラーム療法や抗利尿ホルモン、抗精神薬、膀胱収縮抑制作用の薬なども使われます。
しかし、子供の成長過程でこのような薬を使うことが良いのか、疑問に感じます。
漢方では遺尿ともいい、いくつかの体質的な原因を捉え、それに応じて漢方薬を決めます。

夜尿症のタイプと中医学的対処法

肥満・汗かき体質

口がよく渇き、水分を多く摂る、やや肥満傾向
⇒白虎加人参湯 などで口渇を軽減する

神経質・化膿体質

鼻炎や中耳炎を起こしやすい、癇が昂ぶりやすい、皮膚乾燥、浅黒い、痩せ型
⇒柴胡清肝湯 などで体質改善する

虚弱体質

痩せ型、元気が無い、体が冷えやすい頻尿、腹痛をよく起こす
⇒小建中湯 六味丸 などで胃腸の働きを強め、発育を促進する

不安症体質

ねぼけやすい、夢をよく見る、怖がり、神経質
⇒桂枝加竜骨牡蛎湯 などで気分を安定させる

これ以外にもいくつかのタイプがあります。
正確に体質を判断することがポイントで、早い場合は1週間で治まったケースもあります。

case study

夜尿症が短期間で改善!

6月にメールで相談を受けました8才の子供さんの夜尿症が改善し、今回ご報告いただきました。

この子供さんは、体格が良いのですが身体の水分も少し多いようでした。そのため、パジャマだけでなく布団まで濡れるほどでしたので、オムツをすることもあったようです。しかし大きくなるにつれ外泊も増えますし、学校では林間学校などがあり、心配されメールをいただきました。

そこで、身体の水分を発散させてくれる<麻黄湯>と神経質になっていると思われたので、気分を安心させる<竜骨牡蛎湯>を併用しました。

その後1週間でとまり、以降順調に経過しているとのことで、今回別件のメールに合わせてご報告いただきました。

『6月22日に子供のおねしょの薬をおくっていただきました。飲み始めて1週間で、ぴたりとおねしょをしなくなりました。ありがとうございました。』

これからは安心して外泊ができるようになり、当店もとても嬉しい結果でした。

子供の夜尿症

冬から春にかけて、子供の夜尿症の相談をよく受けます。寒い時期になって夜尿症が再発するとか、学年が進級するにつれ心配になるためでしょうか。
昔は小学生の間なら<おもらし>はしかたないものと思われていましたが、最近は2~3年生になると相談に来られます。
小学2年生のKくん、夜尿症が続いていたので、1年間ほど医院で漢方薬をもらっておられました。そこでは<麻黄湯> <小建中湯>など、いくつか変わってきて良いときもあったのですが、なかなか完治しないので相談に来られました。年齢から考えると焦ることのないようお母さんに伝えましたが、それでも何とかしたいとのことでした。
Kくんの体格は標準で、空手や水泳を習っていて元気だが、怖がりで、寝言をよく言う、落ち着きがない、2歳の弟がいる、お母さんが仕事に出ていて忙しいなどをお聞きし、<八味丸>を少量と、気分を安定させる漢方薬を使っていただきました。
1ヶ月間お使いいただきあまり変化がないので、以前からの薬をやめて、当店の薬を少し増やしてお使いいただいたところ改善の兆しが現れ、1週間で4日以上お漏らしがない日が出てきました。まだしばらく継続が必要ですが、これから暖かくなることも含めて改善するものと思われます。
結果から考えますと、冷えよりも親が忙しいことなどによる精神的な要素が原因であったのかと思われます。