動悸
「動悸と漢方薬」
動悸とは、心臓の拍動を通常よりも強く、早く、または不規則に感じる状態のことです。それに伴い不快感や違和感、不安感を感じることもあります。
動悸は心臓に問題がある場合だけではなく、甲状腺の問題や貧血、自律神経の調節の問題などで起こる場合があります。
検査を受けて心臓や甲状腺などに問題ないことを確認することが重要です。
動悸の中医学的考え方
中医学で心臓が拍動して不安になる症状を「心悸」といいます。
五臓六腑の中で動悸(心悸)と関係の深いのは【心】と【肝】です。
中医学で【心】は心臓を含む循環器系に相当し、さらに意識や精神活動と関わる臓腑と考えられています。
【心】は当然のことながら特に動悸と関係が深く、【心】の【気】【血】【陰】【陽】それぞれの不足が動悸を引き起こす可能性があります。
また、【心】を中心とする血流の悪さも動悸を引き起こす可能性があります。
中医学で【肝】は全身の【気】【血】の巡りを調整し、自律神経の機能に関わると考えられています。ストレスなどで【肝】による【気】【血】の巡りの調節がうまくいかなくなることで、動悸が起こる場合があります。
動悸に用いる漢方薬は、おおよそ以下のように分類することができます(複数のタイプを併せ持つ場合もあります)。
心気・心血不足タイプ
【心】の機能エネルギーである【心気】と、血液など身体を滋養する働きをもつ【心血】が不足して動悸が起こるタイプです。このタイプでは動悸だけでなく、不安感、不眠、夢が多い、めまい、倦怠感、などの不調も感じやすくなります。
【心気】【心血】を補う、心脾顆粒や炙甘草湯などを用います。
心陰不足タイプ
【心】の、身体を滋養、滋潤する働きをもつ【心陰】が不足して動悸が起こるタイプです。このタイプは動悸だけでなく、不安感、不眠、夢が多い、口が乾く、めまい、といった不調を感じやすくなります。また【陰】は身体を冷ます働きも持つため、【心陰】の不足では、夕方や夜間に強くなるのぼせ、手足のほてり、寝汗、などの不調も感じやすくなります。
【心陰】を補う天王補心丹や、さらに熱感が強い場合には黄連阿膠湯などを用います。
心陽不足タイプ
【心】の、身体を温めて活性化させるエネルギーである【心陽】が不足して動悸が起こるタイプです。このタイプは動悸だけでなく、手足の冷え、めまい、などの不調を感じやすくなります。【陽】が不足すると身体の水分代謝も滞ってくるため、顔や体のむくみ、天気が悪いと調子が悪くなる、といった不調も感じやすくなります。
不足した【心陽】を回復させ、身体の水分代謝を活発にする苓桂朮甘湯、真武湯などを用います。また、不安感や驚きやすいなどの症状がある場合には、桂枝加竜骨牡蠣湯などを用います。
心血瘀阻タイプ
【心】を中心とする血流の悪さ、血行不良によって動悸が起こるタイプです。このタイプは動悸だけでなく、心臓付近の痛み、顔や唇が赤黒い、肩こり、生理痛が酷い、などの不調を感じやすくなります。
血流を改善する冠元顆粒や血府逐瘀丸などを用います。
肝鬱気滞タイプ
ストレスなどで【肝】の機能が失調し、動悸が起こるタイプです。中医学の【肝】は自律神経機能と関わると考えられるため、このタイプはイライラ、憂鬱感、胃の不調、腹部膨満感、ガスが多い、便秘、下痢、側頭部の頭痛、めまい、PMS(月経前症候群)が酷い、などの不調を感じやすくなります。
【肝】が【気】【血】を巡らせる働きを回復させる、加味逍遙散や柴胡加竜骨牡蠣湯などを用います。
その他のタイプ
緊張などで急な動悸がするような場合には、牛黄や麝香といった生薬が配合された牛黄清心元、感応丸氣、敬震丹などを用います。
※体質によって身体に合う漢方薬は異なりますのでご相談ください

