喘息

「喘息の症状と漢方薬」

気管支喘息とは、気道に慢性的な炎症が起こり、気管支の痙攣によって発作が起こる病気です。気道の慢性的な炎症はアレルギーによるものであることが多く、気管支喘息はアレルギー疾患の1つといえます。気管支が痙攣によって狭まることで喘息発作が起こり、咳、痰、呼吸がしにくい、などの症状が現れます。

喘息発作を繰り返したり、慢性的な炎症が悪化・持続すると、気道壁が分厚く硬くなって元に戻りにくくなることがあります。これをリモデリングといい、喘息発作がさらに起こりやすくなります。
そのため、気管支喘息の治療では

  • 気道の慢性炎症を抑える
  • 喘息発作が起こらないようにする

の2つが重要になります。

そこで現代医学では、吸入ステロイドや長時間作用型気管支拡張薬が主に使われます。
吸入ステロイドは気道の慢性炎症を抑えて発作をおこらないようにし、長時間作用型気管支拡張薬は気管支の痙攣を抑えます。
他にも、気管支の狭まりを抑える長時間作用型抗コリン薬や、喘息発作時に気道を広げる短時間作用型β2刺激薬などが使われることがあります。

喘息の中医学的考え方

漢方では身体を【五臓六腑】という分類で考えます。喘息は呼吸器系の疾患ですが、漢方では呼吸器系に相当する【肺】だけでなく、他の臓腑と関連づけて身体全体で考えます。喘息体質と特に関りの深い臓腑は【肺】【脾】【腎】です。

漢方では体質や症状に応じて、喘息を以下のようなタイプに分類して考えます。これらのタイプを複数併せ持つ場合も多いです。

肺虚タイプ

【肺】は気管支や肺などをまとめた呼吸器系に相当し、西洋医学の肺と同じく呼吸に関わる臓腑です。
【肺】の【気】(エネルギー)や【陰】(潤い)が不足するとスムーズな呼吸が妨げられてしまい、喘息症状である咳、痰、息苦しさなどが現れます。特に【肺】を潤す【陰】が不足すると。口渇、空咳、切れにくい痰、などが現れやすくなります。

また、漢方理論では【肺】は鼻や皮膚と関係が強いため、このタイプは鼻炎などの鼻トラブルや、アトピー性皮膚炎などの皮膚トラブルを起こしやすい傾向があります。
【肺】の【気】や【陰】を補う麦味参、麦門冬湯、滋陰降火湯などを用います。

脾虚タイプ

【脾】は胃腸を中心とする消化器系のことで、飲食物から【気】や【血】(身体を滋養滋潤する血液などの物質)を作り出す働きをします。漢方の五行理論では【肺】は【脾】の子であり、親である【脾】(消化器系)が弱ると【肺】(呼吸器系)も弱ると考えます。

【脾】が弱いタイプでは、呼吸器症状だけでなく、食欲不振、軟便、疲労感などが現れやすくなります。また、このタイプでは痰は薄く量が多くなる傾向があります。
【脾】の【気】を補う六君子湯、健胃顆粒、黄耆建中湯などを用います。

腎虚タイプ

【腎】は泌尿器系、内分泌系、生殖器系などに相当するもので、漢方では成長・発育・生殖に関わる根本的な生命力を蓄える臓腑と考えます。中医学では「腎主納気」という言葉があり、【腎】は呼吸で吸い込んだ吸気を身体に深く納めるということです。つまり【腎】によって深い呼吸ができるということです。

【腎】が弱いタイプでは、呼吸器症状だけではなく、足腰が弱い、夜間頻尿、聴力低下などの症状が現れやすくなります。
【腎】(+【肺】)を補う八仙丸、双料参茸丸、青海冬夏泉(冬虫夏草ドリンク)などを用います。

衛気不足タイプ

外界のウイルスや花粉、化学物質から身体を守り防衛する【気】のことを、漢方では【衛気】といいます。喘息の病態として、気道粘膜のバリア機能の低下があり、これは漢方では【衛気】不足と考えることができます。

この【衛気】不足タイプでは、風邪をひきやすい、汗をかきやすい、などの症状が現れやすくなります。
【衛気】を補う衛益顆粒などの黄耆含有製剤を用います。

また【衛気】の生成には上記の【肺】【脾】【腎】が関わるため、これらの臓腑を強めることも重要です。

その他のタイプ

上記以外のタイプに対しても、喘息の咳や痰を緩和する漢方薬があります。

  • 寒喘タイプ
    寒さの邪気が体内に侵入することで喘息が起こるタイプです。寒気を感じたり、痰は薄く白い傾向があります。
    小青竜湯などを用います。精神的ストレスも関与する場合には、神秘湯などを用います。
  • 熱喘タイプ
    熱の邪気が体内に侵入することで喘息が起こるタイプです。熱感があったり、痰は粘り気があり黄色い傾向があります。
    麻杏止咳顆粒などを用います。
  • 痰喘タイプ
    身体の水はけ(水分代謝)が悪く、溜まった痰で気道が塞がれるために喘息が起こるタイプです。痰が多く、食欲不振や悪心などを併せ持つ傾向があります。
    温胆湯や二陳湯などを用います。精神的ストレスなどで喉の詰まる感じ(梅核気)もある場合は半夏厚朴湯や柴朴湯などを用います。

※小児喘息では、漢方薬が飲めない子供さんに最適の「冬虫夏草ドリンク」が好まれ、短期間で症状改善する例がたくさんあります。

※体質により漢方薬は異なりますので、ご相談ください。

喘息のケーススタディ

実証と虚証

6歳のK子ちゃんは、小児喘息で毎日気管支拡張剤や抗アレルギーを飲んでいました。 発作を起しては入退院を繰り返し、家族の心配の種でした。アレルギー疾患を示すIgEも高く、ずっと薬を飲み続けなくてはいけないかと不安でした。

漢方薬を飲み始めて3ヶ月。IgEもぐんと下がり、発作も起きず、病院の薬も主治医と相談の結果、1/3の量になり、このままいけば廃薬ももうすぐです。表情も明るくなり4月からは元気な一年生となります。

漢方では喘息を実証(呼吸が荒く、胸部の膨張や吸気性の呼吸困難を伴い、時に発熱する)と虚症(言語が低く徴かになり、四肢の冷えがあって吸気性困難を伴う)に分けて考えます。 また咳も喘息と同様の治癒を行いますが「コンコン」の乾性か「ゴホンゴホン」の湿性かに区別します。大切な事は、咳や喘息を起している根っこ(=体質)を見極め、根本的に治療することです。

咳や喘息に使われる生薬に有名な「麻黄」があります。マオウ科の植物でエフェドリンが含まれ、気管支を拡張し痙攣を抑え、咳を鎮める働きがあり、治療には欠かせません。

冬虫夏草

麻黄が入っている漢方薬には「麻黄湯」「小青竜湯」など数種があり、IgEが下がってくるとの報告もあります。この他に「冬虫夏草」というキノコの一種があり、中国では古くから滋養強壮薬として使われていましたが、中国の陸上選手が続々と世界新を出した活力源として、日本でも話題になりました。

この冬虫夏草には肺と腎の機能を強める働きがあり、感染の防御や気管支拡張、免疫力の強化、抗アレルギー作用などがあり、咳や喘息にも良い結果をもたらしています。

喘息の改善は根気よく!

喘息は季節に関係なく年間通じて相談に来られます。ほとんどの方はステロイドの吸入をされ、発作は抑えられているのですが、根本的な改善は見られないようです。

30歳の女性Mさんも4ヶ月前からステロイドを吸入されていました。時々咳き込みが酷く、痰がからみ、息苦しいので相談に来られました。

マキョーS

最初は咳を改善することを中心に<麻杏甘石湯>をお使いいただきました。これで咳の頻度は軽減し、ステロイドの使用も少し減りました。そこで咳が治まっている間は<双料参茸丸>を使っていただいて根本治療とし、咳が強い時は<麻杏甘石湯>を使うというように継続していただきました。

この先、気候の変化などで悪化する急性期と、比較的安定する<緩解期>を繰り返すことと思われますが、根気よく取り組んで完治を目指しています。途中で止めず、根気よく取り組まれるようサポートしていきたいと思います。