脱毛・薄毛
「脱毛・薄毛の症状と漢方薬」
脱毛・薄毛のタイプ
脱毛・薄毛には以下のようなタイプがあります。
- 男性型脱毛症(AGA)
思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が細く短くなり脱毛していく、進行性の脱毛症です。男性ホルモンや遺伝的要因によって起こります。 - 女性型脱毛症
更年期以降に頭頂部周辺の広い範囲で髪が薄くなっていく脱毛症です。女性ホルモンの減少や男性ホルモンの関与など、男性型脱毛症に比べると多様な原因によって起こります。 - 円形脱毛症
自分の免疫細胞が毛包組織を攻撃して脱毛が起こる自己免疫疾患です。疲労、感染症、ワクチン接種、ストレスなどを原因として起こります。 - 薬物性脱毛症
抗がん剤などの薬物が原因で起こる、副作用としての脱毛症です。
現代医学では脱毛症のタイプによって、内服薬や外用薬を用いることがあります。
脱毛・薄毛の中医学的考え方
中医学では『髪は血の余り』と考えます。中医学でいう【血】は血液だけでなく、身体を滋養する栄養分、意識や精神の宿る物質、などといったものでもあります。『髪は血の余り』であるため、中医学では【血】が不足することで脱毛・薄毛が起こると考えます。ただし【血】が足りていても頭皮や毛根に届かなければいけません。【血】の巡りの悪さは脱毛・薄毛の原因になります。
また、中医学では成長・発育・生殖・老化といった生命の盛衰に関わる物質を【精】といい、これは五臓六腑の腎に蓄えられるため【腎精】とよばれます。【腎精】によって人は成長し、【腎精】が減ることで老化現象が起こると考えます。そのため中医学では、加齢に伴う脱毛・薄毛には【腎精】の減少が関わっていると考えます。
漢方では体質によって、脱毛・薄毛をおおよそ以下のように分類して対処します。
複数のタイプを併せ持つ場合もあります。
肝血不足タイプ
【血】不足で頭皮や毛根に十分な栄養が行かず、脱毛・薄毛が起こるタイプです。冷え症、乾燥肌、爪が弱い、貧血傾向といった不調を感じやすいタイプです。
中医学では【血】は五臓六腑の肝に蓄えられると考えるため、【肝血】を補う婦宝当帰膠や四物湯などの補血薬を用います。
腎精不足タイプ
加齢に伴う【腎精】の不足で脱毛・薄毛が起こるタイプです。このタイプでは、足腰のだるさ、難聴、耳鳴り、骨や歯がもろい、頻尿、物忘れといった加齢に付随する不調を持ちやすい傾向があります。
【腎精】を補う亀鹿仙などの補腎薬を用います。
瘀血タイプ
血流が悪いために皮膚や頭皮の毛根に栄養が行かず、脱毛・薄毛が起こります。頭痛、肩こり、シミ・そばかすが多い、静脈瘤といった不調を感じやすいタイプです。
血流を良くする冠元顆粒などの活血化瘀薬を用います。
肝鬱気滞タイプ
ストレスなどにより【肝気】の巡りが悪くなって、脱毛・薄毛が起こるタイプです。イライラ、抑うつ、ため息、睡眠障害といった不調を感じやすいタイプです。円形脱毛症の原因は様々ですが、その1つにストレスがあります。
【肝気】を巡らせる逍遥顆粒や柴胡加竜骨牡蛎湯などの疏肝理気薬を用います。
痰湿タイプ
皮脂が多いことで脱毛・薄毛が起こるタイプです。余分な水分や脂肪分に由来する【痰湿】が頭皮や毛根にたまることで、毛が抜けやすい状態になります。脂性肌、痰が多い、むくみ、肥満傾向などの特徴があります。
【痰湿】を除去する温胆湯などの化痰薬を用います。
脱毛・薄毛のケース ~ブログより~
脱毛・薄毛のケーススタディ
抜け毛
髪のトラブルは、抜け毛、白髪、薄いなど、女性から多くの相談を受けますが、男性でも同様の悩みがあります。
原因は、ストレスによる円形脱毛や、産後や貧血による<血虚>、血流不良による毛根の栄養不足、男性の場合の<腎虚>によるものなど、様々です。そして、漢方薬をお使いいただいて、改善が早い方や、なかなか変化がない方など、個人差もあります。
今日お越しいただいた23歳の男性、髪が全般に少なく、頭頂部が特に気になるとのこと。脂性でもなく、むしろ寒がりで女性でなくとも<婦宝当帰膠>による<補血>があうタイプでした。また、少し補腎をあわせたほうがよいので<何首烏>という生薬を紹介しました。
髪は1ヶ月に1センチ程度しか伸びませんので、3ヶ月以上半年程度の変化を見ていく必要があります。
貧血と疲労倦怠感
女性には貧血の方が多く見られます。
37歳の女性Mさん、貧血でHBが9.5しかなく、また疲れやすく、脱毛が多いので相談に来られました。

冷え症で、胃腸が弱く、立ちくらみがあり、生理の時は鎮痛剤を使っておられました。漢方で<気血両虚>の状態でしたが、まずは疲労倦怠感を改善したいとのことで、<ケイギョク>をお使いいただきました。
2週間後来られたときは、朝起きが楽になり、睡眠が良くなり、生理痛も楽になって鎮痛剤を使わなくても良かったとのことでした。短期間にこれだけ改善すると、本当に嬉しいものです。
今回お使いいただいたケイギョクは、人参と地黄を主成分とする製剤で、漢方では主に<肺腎陰虚>に使うのですが、その他、朝が起きられない方の漢方薬として喜ばれています。

