「冷えの症状と漢方薬」

西洋医学において「冷え症」は、冷えやすい体質の問題としてとらえられますが、病気というわけではなく冷え症の治療薬はありません。
一方、東洋医学においては冷えは病症の一つととらえ弁証することにより、漢方薬で対応することが可能です。

冷え症は、気血のめぐりが悪くなることにより起こってきます。
「手足が冷える」「足が冷えて頭はのぼせる」「体全体が冷える」「お腹や腰周りが冷える」など、その表現は様々です。
また、どうして気血めぐりが悪くなるのかという、その原因もその人によって異なります。

血管の中を気血が滞りなく流れ、冷えのない状態でいるためには

  • ① 流れる血の量が十分にあること
  • ② 流す力(気のエネルギー)が十分であり、かつスムーズであること
  • ③ 流れをせき止めたり、邪魔をするものがないこと
が必要になってきます。
このいずれの条件も重要ですので、どこかに問題があればそれが冷え症をひきおこしてしまいます。

流れる気血の不足タイプ
熱不足タイプ
胃腸が弱く疲れやすい、食欲がない、やせ気味、顔色が悪い、経血量が少ない 婦宝当帰膠、四物湯、補中益気湯、理中湯、参茸補血丸、八味地黄丸
流す力(気)の滞りタイプ 顔がほてる、イライラする、月経前に胸や腹部が張る、緊張により手足が冷える 婦宝当帰膠、逍遥丸、柴胡疎肝湯、四逆散、香蘇散、温経湯
めぐりの障害物の多いタイプ 太り気味、油ものや水分をよくとる、寒がりの暑がり、シミや傷痕が残りやすい 桂枝茯苓丸、温胆湯、苓姜朮甘湯、防已黄耆湯

冷え症は、いずれのタイプも生活習慣や食習慣が深くかかわっているため、毎日の生活に注意をし改善をしていく必要があります。

手足とお腹の冷え

やせ気味のAさんは、手足の冷えとお腹の冷えに悩んでいました。
もともと少食であり、胃腸が強くないAさんは、冷えに弱くすぐにお腹を下してしまいます。

胃腸は、気血をつくりだすためには非常に重要ですから、まずこの胃腸の機能を高めていくことが根本治療になります。

Aさんのおなかもいつも冷たいのだそうですが、胃腸自体が冷えているとうまく働くことができないのです。悪循環ですね。
Aさんにはお腹を温め、脾胃の消化吸収能力を高めるために<理中湯>を服用していただきました。

理中丸

一か月ほど服用されたころ、お腹を下すことがほぼなくなったとこのことでした。
胃腸の機能が回復してくると、食べ物から栄養をよく吸収し、気血の生成も増えてきます。
少し時間をかけて根本治療が大切ですね。

不妊と冷え

ずっと冷え症に悩んできたというTさん。
そろそろ赤ちゃんを授かりたいと思っています。

貧血気味で、疲れやすいといいます。婦人科では、子宮筋腫があるとのことですが、筋腫の場所と大きさより妊娠には影響はないだろうとの診断です。

Tさんは、血虚血瘀のタイプです。
流れる血も不足しているため、冷えてさらに血流がうっ滞することで流れがまた悪くなって瘀血となり、それが冷えを生むという悪循環に陥ってしまっているようでした。

Tさんには、補気補血活血を目的とし、<婦宝当帰膠>と<桂枝茯苓丸>を中心として漢方薬を組み合わせて飲んで頂きました。

婦宝当帰膠

漢方を服用されて3か月。「いつもなら手足が冷たいけれど、今年は、冷えが気にならないんです」とうれしい笑顔。
全身の血流も改善してきたのですね。

体調が整ってきましたから、もうすぐ赤ちゃんもきてくれるのではないでしょうか。

※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。

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