「不眠症の症状と漢方薬」

不眠症不眠とは、寝付かれない、または熟睡できないために身体的な不調を訴えるものです。西洋医学では、入眠障害、中途覚睡、早朝覚睡などに分類されます。

漢方では、実証と虚証に区分して考えます。例えば実証では、イライラが強く眼や顔が赤いタイプや飲食過多で痰が多いタイプ、ストレスを受けやすく精神的な要因で悪化するタイプなどです。また虚証では、動悸やめまい、耳鳴りがあり早く目が覚めるタイプ、考え事をして目覚めやすいタイプ、驚きやすく寝汗を各タイプなどがあり、それぞれに対応する処方を使います。

ストレス社会にシベリア人参

会社を経営するF氏は様々なストレスで生じた強度の不眠症を訴えていました。医師からの睡眠剤も増え、このままでは身体に悪く、副作用も心配され、漢方相談にいらっしゃいました。 F氏のように眠りたいのに眠れないとか、眠りが浅い、寝つきが悪い、夢が多いなどの苦痛を訴える人が増えています。

漢方では不眠を「不得眠」と書き、その原因は『心』と関わっていると考えます。ここで言う『心』とは、西洋医学での心臓の働きに加え、思考、精神作用の中枢とされ「心は神の宿るところ」とみなされています。つまり精神活動を安定させるためには『心』を養う栄養物である「血」や、体液、気が充実していなければならないと考えます。

何らかの原因で心の血が消耗すると、血液循環が悪くなり、動悸や寝つき不良、夜中に目が覚めるなどの不眠症状が現れます。また長期間に渡り不眠が続くと、のぼせやほてり、一晩中悶々とするなどの症状が強くなります。更に気の不足(気虚、陽虚)が加わると、心の働きが弱まり、不安感、気になって寝付けない、怖い夢を見る、すぐ動悸がする、疲れやすくなる等の症状も現れます。いずれも体内の血・体液・気不足によって起こると考えられます。

シベリア人参茶F氏の場合には酸棗仁湯などの漢方薬で自然のリズムを取り戻すことができました。 また最近ではロシアに自生するシベリア人参には安神(精神安定)作用があるといわれ、ストレス社会に最適の生薬と評判です。

不眠の漢方薬

不眠症に使われる漢方薬はたくさんあります。

神経が高ぶり、怒りっぽい方の<黄連解毒湯>、<抑肝散>、不安、動悸の<柴胡加竜骨牡蠣湯>、気分が塞ぎ、悪心がする人の<半夏厚朴湯>や<温胆湯>、婦人に多い<加味逍遙散> などなど、書ききれないほどの種類です。

当然、<証>によって決めるものですので、このとおりとは言えません。しかし、あまり証にとらわれることなく、もっとも一般的で、ファーストチョイスとして使う<酸棗仁湯>でよく効くケースもあります。

59歳自営業の女性Aさん、見た目は元気ですが、胃腸が弱く、夜間に動悸がすることがある、考え事をして神経が冴えて眠れないとの相談でした。寝つきも悪く、寝ても途中で目が覚めるので朝起きが辛くなっています。

イスクラ酸棗仁湯顆粒(いすくらさんそうにんとう)そこで、いろいろな処方を考えられたのですが、やっぱり初心に戻って、オーソドックスにいこうと思い、<酸棗仁湯>を1週間使っていただきました。結果、よく寝られるようになって楽になりましたと喜んでいただきました。

ついつい処方を考えすぎて、かえってうまく行かないケースがあるのですが、基本に戻ることの大切さを教えてもらいました。

※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。

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