「頻尿・尿漏れの症状と漢方薬」

頻尿・尿漏れ正常な人は1日に4~6回の排尿をしますが、他の疾患が原因で起こるものや加齢により、異常に回数が増えるのを頻尿といいます。主な原因は、糖尿病、膀胱炎、膀胱結石などに伴うものと、神経性、心因性、加齢による筋力の低下などがあります。 また、尿失禁には、切迫性、腹圧性などの神経伝達に関するものと、尿道括約筋の低下によるものがあります。

漢方ではそれらの原因と体質をとらえ、様々な対応をします。 実証で比較的尿の色が濃いタイプは体にこもる湿熱を去る、加齢により冷えが伴うようなタイプは腎気(エネルギー)を補う、気分がイライラしたり、気になる心因性の場合は気の流れを整えるなど、多くの処方があります。

腎は二便をつかさどる

56歳のAさんは更年期の頃から尿の異常を感じながらも、誰にも言えず悩んでいらっしゃいました。気になると1時間毎にトイレに行き、しかも時々間に合わず尿漏れをしてしまうので、思い余って相談に来られました。

Aさんのように頻尿(排尿回数が、概ね日中で4~6回、夜間1回以上で多くなる)や失禁〈腹圧がかかったときや、尿意が強く、準備が出来ていない内に漏れてしまう〉あるいは尿の出渋りなどで悩んでいる人は多いようです。

検査で特に器質的異常が認められない場合は漢方治療が適応されます。 漢方医学では「腎は二便(大便、小便)をつかさどる」と言われ、尿の生成や排泄は腎の陽気(腎陽)の動きによるものと考えています。腎陽が不足している人は寒さの影響を受けて発汗量が減少したり、腎臓での水分の再吸収がうまく行われず、尿量が増えます。また腎陽には膀胱の機能を助けて尿が漏れないようにする働きがあります。この機能が低下すると排尿をコントロールする括約筋の力が落ち、水道の蛇口が緩んだように頻尿や尿漏れが起こるのです。

海馬補腎丸漢方薬としては腎陽を補う鹿茸(鹿の角)や冷えを取る附子(トリカブトの根)などを使います。代表的な漢方薬には八味地黄丸や海馬補腎丸などがあります。尿異常には漢方が功奏します。あきらめずに治療することをお勧めします。

「腎」と「脾」の働き

寒くなってくるとトイレに行く回数が多くなります。それも夜間だと睡眠不足になり困ります。 このような排尿トラブルには、昼間でも回数が多い頻尿、トイレに着くまで我慢できない場合や、咳をしたり笑ったりして起こる失禁、冷えや老化による夜間頻尿、排尿に勢いがないなど、老若男女を問わず悩んでいる人は多いようです。

漢方では、尿の生成と排泄は「腎」と「脾」の働きが関していると考えています。漢方で言う腎は、生命エネルギーを生み維持する臓器で、生まれつき腎が弱い虚弱体質の子供は、寒がりで発育も遅く夜尿症になりやすく、老人では頻尿や尿漏れになりやすいのです。また漢方の脾には、食物を消化し栄養分を全身にめぐらせる働きと筋肉を強化する働きがあります。排尿機能は膀胱や尿道の括約筋によって管理されていますが、脾の働きが低下すると括約筋が無力となり尿漏れを生じやすくなります。病院の検査で器質的な異常がなければ漢方薬がよく効きます。

帰脾湯エキス顆粒KM体力低下や冷えがある場合は、鹿茸や附子が入った「八味地黄丸」「至宝三鞭丸」などがよく効きます。逆に尿が黄色く、暑がりの人には「瀉火利湿顆粒」や「猪苓湯」などを使います。胃腸機能の低い人には「補中益気湯」や「帰脾錠」などがあります。さらに尿漏れには、余分な水分が漏れないようにする固渋薬の「縮仙丸」などを併用するとよいです。これらの疾患はタイプが多く、正しい判断が欠かせません。 人には相談しにくい疾患だけに、早く改善して生活を楽しいものにしたいものです。

※その他にもたくさんのケーススタディがありますので、ブログ内で検索してみてください。

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