新聞掲載 症例別漢方コラム : 国際中医専門員 古村先生が、現在新聞に連載している漢方コラムのバックナンバーを集めました。症状や対処法についての詳しい解説も加筆しています。

不妊症

周期表

不妊症の女性の共通症状に、冷え症生理不順生理痛等があります。漢方治療としては、血液循環を良くして女性ホルモン分泌調整を促進し、胃腸機能を整えて妊娠しやすい体調をつくり、冷えを改善して基礎体温表での二層性の確立をめざすなど、子供が育つための母体づくりを行います。男性原因の不妊症もありますので、ご夫婦での相談をすすめています。

不妊症の療法の一つとしてよく取り上げられる「周期療法」とは、1963年から中国で行われた「中薬人工周期療法」のことを言い、西洋医学の理論と中医学の考え方が結合して生まれました。

図のように、基礎体温表のグラフ(BBT)を基本にして、女性の月経周期に合わせて必要な漢方薬を飲んでもらう方法です。

月経期:月経の量と質や日数を適正にする処方
卵胞期:卵胞をしっかり育てる処方
排卵期:短期間でしっかり排卵させる処方
黄体期:受精卵が着床しやすいよう温かい子宮をつくる処方

さらに流産の予防方法や、胎児の発育促進安胎方などがあり、活用されています。
最近は男性不妊も言われることが多くなりましたが、これに対しても、精子を増やし、活動を高める方法があります。最近では、精子抗体が原因で不妊の方に対し、抗体を正常化する方法まで考えられています。

これらの方法により、漢方による不妊治療での妊娠率は飛躍的に高まってきています。

不妊は夫婦一緒に取り組む必要があります。
当店では、身体全体の改善を基本に、周期療法も取り入れて多くの方の喜びの声をいただいています。


新年早々にA子さんよりうれしい便りが届きました。『男の子です。母子ともに元気です。先生ありがとう!』結婚7年目にして、待望の赤ちゃんの誕生です。

結婚して3年目に産婦人科の不妊外来を受診、その後「レールに乗せられるように」検査を受けました。ホルモンの分泌や卵巣、子宮などの状態を調べる検査に半年かけましたが「検査は痛いし、不安は募るし」と辛さを語ってくれました。結局、本人も夫にも異常はなく、人工授精も2回行いましたが妊娠に至らず、ホルモン治療に不安を抱き、相談にこられたのです。クロミッドステロイドでホルモン分泌はすっかり狂ってしまい、基礎体温表はガタガタの曲線を描いていました。A子さんの体は心身ともに疲れ、悲観の色さえ伺えるほどでした。「基礎体温表をきれいな2層性にしましょう」と励まし、漢方治療を始めました。

漢方薬としては、不妊の大敵である冷え性、子宮寒冷を解消する「温経湯」や「婦宝当帰膠」は必須の薬となります。北極の大地に草木が芽生えないように、赤ちゃんがスクスクと育つためには子宮が温床でなければなりません。更にホルモンのバランスを整えるため、腎の働き(内分泌機能を調整する)を強める「海馬補腎丸」などを用いました。約2年、家族に支えられ根気よく飲み、乱れていた基礎体温表も2層性になりました。妊娠が判明して「信じられない」と涙ぐんだ日から10ヶ月、A子さんご夫妻と喜びを共有した新世紀の幕開けとなりました。



当コラム新聞掲載日:2001年1月


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