新聞掲載 症例別漢方コラム : 国際中医専門員 古村先生が、現在新聞に連載している漢方コラムのバックナンバーを集めました。症状や対処法についての詳しい解説も加筆しています。

痴呆症

痴呆症とは、記憶、思考、判断力が失われていく状態で、65才以上から増えてきます。
原因はアルツハイマーが最も多く、他にも脳血管性痴呆や様々なタイプがあります。
西洋医学では、進行を遅らせる薬剤やカウンセリング、生活環境対策などがとられます。

漢方では腎気の低下と血流の問題を重視します。
老化とともに腎気(生命エネルギーのようなもの)が衰えますが、これを補うことで減少を予防することです。また血流が悪いために微小脳梗塞が起きたり、脳出血により発生する痴呆には末梢血管の血流を改善する処方を用います。
最近話題になった「釣藤散」は、脳血流を良くし神経細胞を保護する作用が明らかになり、血管性痴呆症に効果があるとされました。これからも様々な処方が効果を発揮するものと思われます。


「物忘れはボケの始まり」と言われますが、痴呆症は皆の関心事であります。
人や物の名前が思い浮かばなかったり、簡単な暗算が出来なくなると「ぼけ」がはじまったのではと不安になります。
ボケの中にも生理的なボケ(単なる物忘れ)と病的なボケ(痴呆)があります。
誰しも年をとると知的能力は衰えますが、出来れば病的なボケ(痴呆)だけは予防したいものです。

さて痴呆症ですが、本能性痴呆アルツハイマー型)と脳血管性痴呆に大別されます。アルツハイマー型は大脳の神経細胞が何らかの原因で壊れ、干大根のようなシワシワの脳になります。つまり、脳の萎縮と、極端な脳血流の低下が特徴です。

漢方的にみると「腎は骨を主どり、髄を生じ、脳は髄の海」と言われ、腎と脳は密接な関係があります。脳の萎縮は腎精(生命エネルギー)不足、髄の不足と捉え、腎の働きを補う漢方薬を用います。

脳血管性痴呆は、脳血管が何箇所も詰まったり脳出血などが原因で、あたかも大根にスが入って穴があいたようになってきます。これは高血圧や動脈硬化などの成人病に注意し、血栓を予防することで、発症を未然に防ぐことが出来ます。血栓や脳出血を起しやすい人はお血(血液循環の停滞や汚れ)を取り除き、末梢血管の血液を改善する漢方薬を用います。

「老いは血管から始まる」と言われます。
漢方の知恵を生かし「杭老防衰」で生き生きとした老後を送りたいものですね。





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