新聞掲載 症例別漢方コラム : 国際中医専門員 古村先生が、現在新聞に連載している漢方コラムのバックナンバーを集めました。症状や対処法についての詳しい解説も加筆しています。

耳鳴り

耳鳴りとは、周囲の音とは無関係に耳の中や頭の中で様々な音が聞こえるように感じる状態を言います。耳鳴りは難聴を伴うことが多く、耳以外の障害(貧血、高血圧、動脈硬化、頭部のけが)によっても起こり、年々増加傾向にあります。西洋医学では治療の決め手はありません。
漢方では「耳は腎に通ず」といい、腎の働き=内分泌系、免疫系、泌尿器系、生殖系、を含む生命エネルギーを強化することが基本です。補腎剤で、局部の興奮を抑える処方が奏効します。


耳鳴りで困っている人は意外に多いようです。65歳のYさん「毎日ジージーとセミの鳴く声がして風流なことです」と冗談まじりで長年の悩みを訴えていましたが、半年間の鍼灸と漢方薬の併用で不快な音と別れを告げました。

耳鳴りは難聴を伴うことが多く、現代医学では原因と病態が不明で、根本的な治療方法も確立されていません。

漢方医学では五臓の働きと五官(目耳鼻舌口)は一定のつながりがあるとされ、『耳は腎』と関係しています。漢方で『腎』とは、現代医学の腎臓の働き以外に、内分泌(ホルモン)系、免疫系、泌尿生殖器系と、脳の働きをも含めた幅広い生理機能を意味しています。古典に「腎は耳に通じる」「腎が健康なら五音を聞き分けることができる」と記されています。正常な状態では腎の精(エネルギー)が髄を生じ、それが脳に集まって耳を養うと考えられています。しかし病気や老化によって腎精(エネルギー)が不足すると、脳が空虚になり耳鳴りが引き起こされると言います。

治療としては、原因となっている腎精を補うことが基本となります。腎を強める補腎薬(例えば六味丸など)や、場合によっては頭部の興奮を鎮める薬などを用います。

また、鍼灸のツボを利用して、肝腎かなめ(肝と腎の機能)を補い、耳周囲の気と血の流れを良くする治療方法もあります。あきらめずに気長に取り組むことをお勧めします。









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