新聞掲載 症例別漢方コラム : 国際中医専門員 古村先生が、現在新聞に連載している漢方コラムのバックナンバーを集めました。症状や対処法についての詳しい解説も加筆しています。

頻尿・尿漏れ

正常な人は1日に4〜6回の排尿をしますが、他の疾患が原因で起こるものや加齢により、異常に回数が増えるのを頻尿といいます。主な原因は、糖尿病、膀胱炎、膀胱結石などに伴うものと、神経性、心因性、加齢による筋力の低下などがあります。
また、尿失禁には、切迫性、腹圧性などの神経伝達に関するものと、尿道括約筋の低下によるものがあります。

漢方ではそれらの原因と体質をとらえ、様々な対応をします。
実証で比較的尿の色が濃いタイプは体にこもる湿熱を去る、加齢により冷えが伴うようなタイプは腎気(エネルギー)を補う、気分がイライラしたり、気になる心因性の場合は気の流れを整えるなど、多くの処方があります。


寒くなってくるとトイレに行く回数が多くなります。それも夜間だと睡眠不足になり困ります。
このような排尿トラブルには、昼間でも回数が多い頻尿、トイレに着くまで我慢できない場合や、咳をしたり笑ったりして起こる失禁、冷えや老化による夜間頻尿、排尿に勢いがないなど、老若男女を問わず悩んでいる人は多いようです。

漢方では、尿の生成と排泄は「」と「」の働きが関していると考えています。漢方で言う腎は、生命エネルギーを生み維持する臓器で、生まれつき腎が弱い虚弱体質の子供は、寒がりで発育も遅く夜尿症になりやすく、老人では頻尿や尿漏れになりやすいのです。また漢方の脾には、食物を消化し栄養分を全身にめぐらせる働きと筋肉を強化する働きがあります。排尿機能は膀胱や尿道の括約筋によって管理されていますが、脾の働きが低下すると括約筋が無力となり尿漏れを生じやすくなります。病院の検査で器質的な異常がなければ漢方薬がよく効きます。

体力低下や冷えがある場合は、鹿茸や附子が入った「八味地黄丸」「至宝三鞭丸」などがよく効きます。逆に尿が黄色く、暑がりの人には「瀉火利湿顆粒」や「猪苓湯」などを使います。胃腸機能の低い人には「補中益気湯」や「帰脾錠」などがあります。さらに尿漏れには、余分な水分が漏れないようにする固渋薬の「縮仙丸」などを併用するとよいです。これらの疾患はタイプが多く、正しい判断が欠かせません。
人には相談しにくい疾患だけに、早く改善して生活を楽しいものにしたいものです。



当コラム新聞掲載日:2001年12月


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