新聞掲載 症例別漢方コラム : 国際中医専門員 古村先生が、現在新聞に連載している漢方コラムのバックナンバーを集めました。症状や対処法についての詳しい解説も加筆しています。

多汗

多汗症は、通常では汗をかかない状態なのに汗が出るものをいい、全身性多汗症局所性多汗症があります。他の疾患が原因でないものでは、精神的な興奮や自律神経の失調によって起こるもの、手のひらや足の裏などの特定の場所に生じるケースがよくみられます。

西洋医学では、交感神経の部分切除が行われますが、代償性発汗といって、他の場所に発汗が新たに生じることもあります。
漢方では体表の汗腺をコントロールする力を高めたり、水分代謝を良くして汗を少なくする、自律神経のバランスを整えるなど、多くの処方があります。


夏になると「汗かき」の相談が多くなります。暑いので当然というレベルでなく、流れるように出るケースです。

28歳のAさん。毎日パソコンを使って図面作成をしておられますが、手や顔から出る汗の量が多く、仕事に支障をきたすと来店されました。Aさんには固表、止汗作用のある衛益顆粒を飲んでいただきました。20日ほど経って、汗の出方が減り、2ヶ月過ぎた頃には、気にせず仕事ができるようになった、と感謝の言葉を頂きました。

Aさんのように、普段は汗をかかないような状況でも汗を多くかく傾向の人を「多汗症」といいます。全身にかく人は全身性多汗症といい、神経質で精神的興奮を起こしやすい人、貧血、脳溢血の方に起こりやすいのです。手掌や足裏、腋下、顔、腰だけに強く汗をかくときは、局所性多汗症といいます。

 漢方では、汗がだらだら出てしまう多汗症は、体表を防衛する力(皮膚温度調節や、免疫)が弱いと考えます。また汗は津液(体にとって有用な水分)の一部であり、体の隅々を潤し、滋養作用をもっている大切なものです。その津液が汗として出てしまうのは、衛気(体表防衛力)が発汗を調節できなくなってしまった結果です。

 この時に用いられる生薬は黄耆というマメ科の植物で、朝鮮人参と同じように元気を補う代表的なものです。この黄耆を主成分とする薬に「玉屏風散」があり、製品名【衛益顆粒】という飲みやすいエキスが発売されました。この夏に是非試してみられては?



掲載日 2005年7月


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