新聞掲載 症例別漢方コラム : 国際中医専門員 古村先生が、現在新聞に連載している漢方コラムのバックナンバーを集めました。症状や対処法についての詳しい解説も加筆しています。

低血圧

低血圧症は最大血圧が100mmHg以下で、低血圧特有の症状、例えば疲れやすい、だるい、季節の変化についていけない、朝置きにくい、午前中不調、めまい、動悸、頻脈などの症状を呈するものです。
漢方では、これらの症状は「虚証=体力低下」「寒証=冷え性」として捉え、体力を補い、冷えを改善する処方を基本にします。代表的な生薬に御種人参があります。


低血圧症で悩んでいる人は若者から老年まで意外に多いものです。 
現代医学での低血圧症は、収縮期(最大)血圧100mmHg以下を言い、体質性本態性起立性自律神経性などに分類されます。昇圧剤や安定剤による治療方法もありますが、あまり使われていません。

19歳のA子さん、中学時代より低血圧症で悩んでいました。
朝なかなか起きることができず、午前中は特に調子が悪く、夜になると目が冴えて寝付けない。体がだるく疲れやすい、時々めまい、立ちくらみ、体が揺れている感じがする、おなかが痛くなり、下痢をすることもあるなど、症状は多岐にわたっています。学校も遅刻の常習でした。検査では最高血圧が100以下で、低血圧症と診断されましたが、薬は処方してもらえず、困って来店されました。

漢方では、血圧の上昇を図るのでなく、低血圧症の人に多い虚証(体力低下)、寒証(冷え)の体質改善をし、(エネルギー)、(血液)を補い、体を温めるなどで血液循環や水分代謝を良くすることを基本に症状を改善します。 

例えば、朝起きることができない人には人参製剤、不眠には帰脾湯、水分による眩暈には苓桂朮甘湯、貧血性眩暈には婦宝当帰膠、むくみ易い人には当帰芍薬散など多種の漢方薬があり、体質に合わせて処方することが大切です。また日常生活に支障をきたして不安感などある場合は精神的な面からの治療も必要です。さらに食養生では夏の冷飲多飲に注意が必要です。

その後A子さんは婦宝当帰膠と苓桂朮甘湯の服用ですっかり元気になり、来春の大学受験に張り切っています。



当コラム新聞掲載日:2003年5月


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