赤い豆の力

土用の入りには「あずき」を食べると良い、とされています。なぜ「あずき」なのでしょうか?

その歴史は徳川時代にさかのぼります。

もともとは公家の間では芋の葉を煮出した味噌汁に餅だんごを入れ、土用の入りの日に食べると暑気あたりをしないという風習がありました。それが徳川時代の中頃から餅をあずきの餡にて包んだものを食べることにより、夏季の悪病災難を退けていたようです。

そして今では「あんころ餅を食べて暑さに負けないように祈願する」という風習になったのです。

土用の丑の日に鰻を食べるという風習ができたのは、その後の江戸時代のこと。それも平賀源内の提案によるもので、「鰻を売れるように」との販売戦略だったのです。よくその働きを考えてみると、暑気払いに最適なのは、「鰻」より「あずき」なのかもしれません。

よく外国の人が日本人が土用の丑の日のこの上なく暑い日に脂ギッシュな鰻を頬張っている姿を見て「暑さで胃腸が弱っている時になぜこんなものを食べられるのか?!」と言ってギョッとしているという話をよく耳にします。その光景が奇怪なものと映るようです。確かに言われてみればそうです。食欲のないときにこんな脂ギッシュなものが食べられるのか・・・?

それを考えると「あずき」はこの時期に食べるものとしては理にかなっているのです。

季節の変わり目の土用のときには胃腸がバテてしまっています。その胃腸を強めてくれるのが「あずき」なのです。

その効能である「清熱燥湿」「利水消腫」作用により、暑く火照った体を冷まし、夏の湿気でむくんでだるくなった体を元気付けてくれます。また色が「赤」であることもこの時期に良いことで、東洋医学の五行説では夏は「赤」に当てはまり、その赤に相当しその時期に弱る「心」と「小腸」を強めてくれるのです。

漢方でも「浮腫」には「赤小豆(あずき)」を使用し鯉と一緒に煮込んだ「赤小豆鯉魚湯」としても使用されています。

またその働きを知っている人達は、民間療法として「浮腫」や「母乳の出が悪いとき」「便秘」「二日酔い」には、茹でた「あずき」を使用しています。この民間療法は私達も良く利用し、湿気による「便秘」を解消するのによく指導しています。

小さな赤い豆ですが、偉大な力を持っていて昔から意味あって季節に合わせて食べられていたのです。是非暑気払いにお試しください。

1つの区切り

「AIHを明日するんですよ。」

そう言われた30歳Oさんの脈はアップアップ状態!何かにむりやり身体を動かされているような感じを受けました。

もともとOさんは生理不順で、放っておいたら自力では3ヶ月に1回の割合で生理がくる周期です。病院での診断は多嚢胞性卵巣。いくつもの卵胞がひしめき合い、なかなか1つのものが主席卵胞になってくれず排卵を渋っている状態です。

今までは排卵促進剤により排卵する力を借り、タイミングを合わせて様子をみてきました。それを約1年間続け、3ヶ月前より排卵促進剤に加え、様々なホルモン剤を使用しての療法が加わり、タイミングを取るような治療に変わりました。

その頃からOさんの身体に明らかに変化が現れたのです。もともとぽちゃっとした体系ではあったものの、少し運動すれば戻っていたのがここ3ヶ月で約10Kgほど一気に増量し、ちっとも痩せなくなってしまったのです。

困り果てたOさんは鍼灸の力を借りて新陳代謝をあげることと、不妊の改善をしたいと治療を求めて来られました。

しかし基本的に排卵から高温期の時期は黄体ホルモンが多くなり、どちらかと言えばエネルギーを蓄え代謝が悪くなる時期に入るのです。Oさんが来院されたのはちょうど高温期前です。昨日に排卵誘発剤を投与したといわれましたので、これからはもっと痩せにくい時期に入ってしまいます。しかもその後はAIHが行われ、hcg注射が行われる予定です。

その予定から考えると代謝を上げる治療は、今回AIHがうまくいかなかった時の後に行うことになります。もしうまくいった場合は、妊娠成立し安定期になった後から自己管理により行ってもらうことになります。その時には無理やりのホルモン治療から脱出しているはずですので、以前のようにコントロールしやすい身体に戻っているはずでしょう。

今回はAIHが成功するように、卵胞の育ちを良くすることと、受精そして妊娠継続のための治療を行うことになりました。

しかし身体から発するメッセージは「もう大変!」というもの。要するにあまりにも薬を使いすぎて身体はヘトヘトになってしまっているのです。可愛そうですが、Oさんも今回の初めてのAIHを区切りとして、しばらく治療をお休みしようと考えておられましたので、今周期はもう少しだけ身体にがんばってもらうことにしました。

それから2週間後、「今のところ薬にて高温期が続いているけど、お腹の感じから明日くらいに生理が来そうです」とOさん。

脈は・・・?!

やはり頑張ってます!しかし前回と違って着床を持続しようと頑張っているようでした。もっと頑張って・・・!

Oさんは不妊治療の区切りとしてAHIをとりあえず行ってみたようですが、とりあえずではなくせっかくなので、成功してしっかり育って欲しいものです!しかしのんびり派のOさんは、「いいんですよ、今回は~!」なんて明るく微笑んでおられました。

ただそんなOさんの気持ちとは裏腹に身体は必死になって頑張っていましたので、治療する側としてはそれを応援してあげないとなりません。妊娠継続の治療を行い、明日の運命の日を待ってもらうことにしました。

もし今回駄目であったら病院での治療は全てストップするようですので、その間に今まで薬で崩してしまった身体を取り戻すためにも是非とも漢方薬の力を借りたいとOさんは考えているようでした。駄目にならなくても、今まで崩してしまった身体を労わって欲しいものです。

お腹の赤ちゃんと共に元気になって、出産も子育てもスムーズに行くように応援していきたいです。

もともと弱い卵巣

29歳Eさん。結婚4年。婦人科歴も4年。不妊治療歴は1年。生理不順歴は初潮を迎えたときからなので18年ほど。不順だと意識し始めたのは9年ほど前から。

生理は飛び飛びであったり、だらだら続いたり、1年以上もなかったり・・・。

結婚してから婦人科を受診し、生理不順の治療が始まったのです。黄体ホルモンを補充するルトラールと排卵誘発剤のクロミッドによる治療でした。しかし半年の治療後、それらの薬を止めるとまた生理が来ない日々が続きました。体そのものを改善し、本来のEさんの力を引き出すところまでは至らなかったようです。

そして1年前、意を決して不妊治療を行うために別の婦人科を受診し、そこで片方の卵管が詰まっていること、卵巣機能障害であること、がわかったのです。

もともと卵巣の機能が弱かったのでしょう。しかしEさんは自然妊娠を希望されています。このような状態であるけれども、漢方薬にて体質改善をして自然妊娠が可能になるようにしたい、と強く希望されて来店されました。

病院では人工授精や次のステップの治療などをすすめられてしまうので、Eさんの「自然のままで」という思いより、自然と病院から足が遠ざかっていました。

漢方薬でしばらく体質改善を行い体調を整えると状況も変わってきますので、検査のためにも病院に行く必要性も出てくるでしょうが、今はEさんの気持ちがおもむくままに治療をすすめていくのが良いでしょうね。

Eさんの体質の「吹き出物」「肩こり」「経血に血塊」「経血が粘っこい」「生理痛が酷い」「排卵痛」「不安定な高温期」などや今までの経過から、卵巣機能が弱く卵の成長が悪いこと、卵巣や子宮内に滞っているものがスムーズに排泄できていないことが伺えます。

漢方ではまずは「お血」「痰濁」をターゲットに改善していくようにしていきます。「冠元顆粒」「水快宝」「爽月宝」などを周期や症状に合わせて組み合わせることで改善を計ります。

「排卵痛」や「生理痛」が治まってくると、流れが良くなり、子宮内の状態も良くなってくるはずです。それと同時に卵巣がうまく働くように調整をしていけば、自然妊娠も夢ではありません。

Eさんの漢方による治療は今始まったばかりです。きっと何ヵ月後には毎月訪れていた「痛み」から解放され、ストレスが軽減された生活を送ることができていることでしょう。体調が良くなればいろんな嬉しいことがやってきます。楽しみながら進んでいきましょう。

PMS?

32歳Mさん。月経前になると必ず「めまい」「頭痛」「心臓のドキドキ感」を感じます。ただこの症状は月経前に酷くなるものの月経前に限らず常でも感じるもののようです。

思い当たることは、生活上のストレス、悩み事。

それを考えたり過剰にそれがストレスに感じるときにその症状は出てきたりしますので、単なる月経前症候群(PMS)ではないように思っていました。

病院ではパニック障害と診断され抗不安作用のある「コンスタン」、鬱を解消する「デプロメール」を処方されました。確かにそれらを服用していると不安が治まるような感じがするのですが、果たしてこのままこの治療を続けてもともとの症状であるPMSのようなものが治るものなのか、不安になり問い合わせをされたのです。

Mさんの症状は、高温期のホルモンの悪戯も少しあるようですが、それだけではなくMさんの心の奥底に抱えている大きなストレスによるものでもあると考えてよいでしょう。それが自律神経を乱し、フワフワ感、頭痛、ドキドキ感を引き起こしてしまうのです。

これを解消するための漢方薬は、まずは「加味逍遥散」がおすすめです。

このお薬は主として女性の神経症状「四肢倦怠感」「頭重」「眩暈」「不眠」「多怒」「不定期灼熱感」「月経異常」「背面部の悪寒や発汗」などに伴う諸疾患「更年期障害」「血の道症」「月経不順」「流産後の神経症状」などに用いられます。

Mさんのような場合もこの漢方薬を主として様子を見ながら調整していけば、徐々に症状が改善され、病院のお薬から離れることができることでしょう。

今おられる1人のお子様のためにも、また次のお子様を望むためにも、是非今の症状を早くに改善し、元気なママでいて欲しいと願っています。

誕生月に

32歳Tさん。問い合わせをされたのは昨年の10月。その時で結婚2年目。独身の頃から生理痛が酷く、生理中は鎮痛剤は手放せない生活を送っていました。

その原因は子宮内膜症とチョコレート嚢腫によるもの。

しかし結婚後は土地が離れたこともあり、病院からも遠ざかってしまいました。

病院は離れても、毎月やってくる激しい生理痛からは離れることができません。

何とかそれを改善し快適な生活を送りたい、そして早く子供に恵まれたい!との思いで、ネットにて検索し当店に辿り着いたのでした。

Tさんの体質は、生理痛が酷く、月経血も粘っこく、おりものは黄色いことから「お血」や「炎症」によるものが見られます。またその他にも「冷え性」「むくみ」「肩こり」などから気血の巡りが悪いことが伺えました。

一番辛い症状の生理痛は、まさしく子宮内膜症によるもので、それによる癒着が進みつつある可能性を秘めています。独身の頃にそれが原因であることがわかっていたようですので、その時点で漢方薬にて治療をされていればここまで酷い症状を引きずって生活することにはならなかったことでしょう。

しかしまだ32歳。遅くはありません。

以前どちらかの卵管も癒着しているかもしれない、と診断されたようですが、それが進行すると自然妊娠が困難な不妊症になりかねません。

まずは漢方薬にてTさんの症状の根源となっている「お血」を中心に「活血化お」と「消腫」を目的として治療をすすめていくことになりました。

周期によりTさんの症状に合わせて徐々に漢方薬の組み合わせを変更しながら調整が行われました。使用したのは「婦宝当帰膠」「水快宝」「爽月宝」など。

そして徐々に毎月の生理痛は以前より軽減はしていきましたが、それも波があり酷い月もあったことから「田七人参」「ルミン」を加え内膜症を抑えるようにしていきました。

そしてその処方になって3周期目、生理が少し遅れていたので気になり、「もしかして・・・!」と妊娠チェッカーによりチェックしてみると、何と陽性反応が出たのです!

しかし「まさか」という疑いと不安の中でTさんから「このまま薬を続けてよいかどうか」の問い合わせのメールを受けたのです。

今Tさんが服用している薬は内膜症の改善のためのものですので、妊娠が発覚すると服用をお休みした方が良いものが含まれています。それよりも現在の目的である「妊娠継続」「流産防止」のためのお薬を服用してもらう方が良いですので、即その目的のお薬に切り替えてもらいました。また少しお腹の張り感もあるとのことですので、それを軽減する安全な漢方薬も加え調整されました。

これからしばらくTさんの力になってくれるのは「婦宝当帰膠」「田七人参」「参馬補腎丸」「芍薬甘草湯」です。
少し落ち着くまでゆっくり安静にして様子をみていきましょう。

今月はTさんの誕生月。

天からのとっても素敵なプレゼントが届けられました。これから大切に大切に育てていきましょうね!

さくらんぼ

6月末から出荷が始まっている「さくらんぼ」。やっぱり山形の「さくらんぼ」は飛びぬけて美味しい!ですよね。

その赤くツルツル光った宝石のような「さくらんぼ」は、実は女性にとってとても嬉しい作用のある果物なのです。

「さくらんぼ」には特に女性に必要な鉄分がたっぷり含まれています。その他カロチン、カリウム、食物繊維、ビタミンB1・B2・Cも含まれることと、身体を温めながら湿気を取り除く作用などにより、「貧血」や「疲労回復」「冷え性」に効果的です。

「カロチン」は疲れ目や肌荒れを予防し、病気の早期回復に役立ちます。また「カリウム」が「ナトリウム」との拮抗作用により利尿作用を発揮し、むくみを解消してくれます。

食べあわせとして良いものは、疲労回復・貧血改善には「ナツメ(大棗)」「黒糖」など、神経痛の改善には「酒」「ハトムギ(ヨクイニン)」など、美肌効果には「ヨーグルト」「レモン」など、むくみ解消には「あずき」「すいか」「ハトムギ(ヨクイニン)」など。

食べるときは生が一番その宝石のような果物を楽しむことができますが、長持ちしないので楽しむ期間が限られてしまいます。

そこで、毎日少しずつ食べたいときにおすすめしたいのは「さくらんぼ酒」です。もしお酒が苦手な人なら「さくらんぼのコンポート」を作っておいても良いでしょう。

<<さくらんぼ酒>>・・・元気のないときに飲んでも良いです!

*材料: さくらんぼ・・・1Kg、氷砂糖・・・150g、焼酎・・・1.8ℓ

*作り方: さくらんぼは洗って水気を拭き、保存瓶に入れる。氷砂糖を加え、焼酎を注ぎ3~6ヶ月保存すると出来上がり!

<<さくらんぼのコンポート>>

*材料 さくらんぼ・・・150g、水・・・400cc、氷砂糖・・・80g、ミントの葉・・・少々

*鍋に水、氷砂糖を入れ、火にかけて氷砂糖を溶かす。さくらんぼを入れ、弱火で2~3分ほど煮てミントを加え、火を止めて冷やすと出来上がり!

その季節に採れる野菜や果物を食べていると、身も心も元気になります!ただ同じものを同じ食べ方で食べていたら飽きてしまいますので、少し調理に工夫をして食べると良いですね。

その季節の食べ物からその季節そして次の季節をうまく元気に過ごしていけるような「気」を貰うことができます。この季節、宝石のような「さくらんぼ」から女性として美しく輝く「気」を貰いましょう。

心の病から

心の病は身体をも蝕み、そのことがまた心を深い病へと引きずり込んでしまうことは多くあります。

30歳、Aさん。

胃の不調により、胃カメラなど様々な検査を受けてみたものの西洋医学的な問題点は見つからず、その原因は神経的なものだと言われ、心療内科の受診をすすめられました。

それ以降Aさんは心療内科のお薬から離れることができない日々が続きました。

服用している薬はスルピリドとメダゼパム 。

どちらも女性に対する副作用として、生理不順を引き起こしてしまいます。特に「統合失調症」の改善薬として使用されるスルピリドは、ホルモン異常による生理不順や乳汁分泌、無月経となることがあります。

とても繊細なAさんはふとしたきっかけから胃の症状が出始め、それから抜け出せない生活を送ることになってしまいました。しかも今では副作用の生理不順、高プロラクチン血症に陥ってしまったのです。

しかし子供に囲まれた家族を夢見ているAさんにとって、今の自分の状態は許せなく、それがまた自己嫌悪となり、胃の状態が悪くなり、お薬に頼る・・・といったその繰り返しでした。

何とか西洋薬ではなく漢方薬で今の状態から抜け出し、Aさんの夢見る家族計画を実現できる身体に戻したい、と希望され求めてこられました。

ただここまで薬に頼ってしまった心を早くに取り戻すことは難しく、長い期間をかけてゆっくりと改善を計っていく姿勢がなくてはそれを実現することは困難です。

まずはAさん本人の強い意志と心療内科の医師の助けと理解も必要です。お薬から離れられるように徐々に薬を変更してもらい、その部分を漢方薬で補っていくことができればAさんの改善も早いことでしょう。

Aさんの改善の手助けをしてくれる漢方薬は、「婦宝当帰膠」「炒麦芽」「開気丸」「救心感應丸氣」など。

まだ30歳。回復・妊娠・出産・子育てには十分時間はあります。

Aさんの強い意志があり、漢方薬と西洋薬をうまく使っていけば、夢見る家族は実現できることでしょう。焦らずにじっくりゆっくり整えていきましょう。

胃の気

夏至から数えて11日目にあたるこの日を「半夏生」といいます。

これは薬草の半夏(はんげ)【烏柄杓(からすひしゃく)】がこの時期に生え、その葉が半分白くなって化粧をしているように見えることからその名がついたと言われています。

農家に携わっていない今の現代人にとってこの日は、関西では「蛸を食べる日」、讃岐では「饂飩を食べる日」、福井県では「焼き鯖を食べる日」といったことくらいで、大して重要視されていない節目になっているかもしれません。

しかし農家にとっては大事な節目の日で、この日までに農作業を終え、この日の天候によって、豊作か凶作かを占ったり、麦の収穫祭を行うなどする大切な日なのです。

またこの日から5日間は休みとする地方もあるようです。

なぜならこの日は天から毒気が降ると言われ、井戸に蓋をして毒気が入るのを防いだり、この日に採った野菜は食べてはならないとされたり、ハンゲという妖怪が徘徊すると言われるなど、この時期に農作業を行う事に対する戒めともなっているからのようです。

そんなことに関係なく、その日に採った野菜を食べてしまったなぁ・・・と、知れば気になるのが日本人ですよね。

この日に関西で食べられる「蛸」は、タウリンが豊富に含まれているために血管障害の改善に良いとされています。これから採れる夏野菜のきゅうりと共にあえる「きゅうりもみ」は、夏に火照った体を適度に冷まし、生活習慣病も予防してくれる抜群の料理です。

またこの時期に生える「半夏」は、漢方薬でもよく使用される生薬です。効能は、理気・止嘔・去痰で、「悪心」「嘔吐」「消化不良」「咳嗽」「不眠」などに用います。特に胃の中に水が溜まったような状態の「胃内停水」にはこの「半夏」は効果を発揮します。

健胃作用を目的として使用される代表的なものは「半夏瀉心湯」「六君子湯」などがあり、去痰作用として使用されるものには「小青竜湯」「麦門冬湯」など、理気作用として使用されるものには「半夏厚朴湯」などがあります。

その中でもこれからの時期、気をつけて欲しいのは「健胃」です。字の如く「胃」を「健康」に保つこと。

これから夏を迎えるにあたって、冷たいものの採りすぎ、食欲減退・・・などなど「胃」はどんどん弱ってきます。中国では「ごはん食べましたか?(チー・ファン・ラ・マ?)」が挨拶の言葉となるように、家族団らんで楽しく食事をすることが重要視され、「食べること」が大切だとされています。

元気に食事ができ健康であって初めて、仕事ができ財を得ることができると言われているのです。これは仕事だけに言えることではなく、元気に生活でき、子供を授かり、出産し、子育てが楽しくできるためには「「胃」が元気でなければなりません。

「胃」が元気でなければ「胃の気」が弱くなり、脈も弱くなってしまいます。

今は「夏」の季節になりますので、今「脈」は通常、やや大きく波が押し寄せるような脈の「洪脈(こうみゃく)」であるはずですが、それが弱いままであったり、1つ前の季節の「春」の「弦脈(げんみゃく)」という琴の弦を弾くような脈のままだったりすると、体が季節についてきていないことがわかります。

その原因は様々ですが、「胃腸の調子が悪い」ような人であれば、胃を健康に整えることが大切です。

漢方薬もそれを吸収してくれる胃腸が元気でなければ何にもなりませんので、胃腸が弱い人にはそれを考えて薬を調整することになります。

今までにも胃腸を整えるお薬を服用してもらっただけで、妊娠された例は多くあります。

「胃腸が元気であること」「楽しく美味しく食べられること」これが根本となるのです。あまり胃腸が元気でない、という人は、是非漢方薬の力を借りてみてください。加えて自分で胃のツボである「足三里」にお灸をするのも良いでしょう。

本格的な夏を前にして、「胃の気」を整えることを考えてみませんか。

不安の中で

海外在住33歳Rさん。

慣れない海外生活の中でストレスが加速したのでしょうか、不正出血が続き生理が遅れました。妊娠したのかと思い、検査薬にてチェックを行ったものの陰性。今までにない症状だったために婦人科を受診されました。検査結果は卵巣嚢胞。経過を見て、手術をすることになりました。

それから1ヵ月後、突然の下腹部痛により緊急手術となったのです。原因は内膜症によるもので、その癒着はかなり酷かったようです。

手術後は以前のような激しい生理痛はなくなったものの、体温が高いままの生理は変わらず、基礎体温表を整え子供を授かりたい、と自分なりに調べ「婦宝当帰膠」と「水快宝」が良いのではないかと、メールにて当店に相談をされたのでした。

Rさんの場合は、子宮内膜症がかなり酷く、手術は行ったもののまた再発の恐れはあり、根本的に改善するためにはそれができてしまう体質を変えていく必要があります。

また子宮内膜症は「お血」が原因で起こります。「お血」は卵胞の発育を妨げます。従ってまずは「お血」を取り除き、「お血」を作るような体質を改善しなければなりません。

そのためには「婦宝当帰膠」「爽月宝」「水快宝」の組み合わせが適しています。

それらの漢方薬の養血・調経作用によりホルモンバランスを整え子宮内膜の状態を良好にし、ピクノジェノールによる内膜症の改善、水蛭による破血作用により癒着を改善することにより、Rさんのように酷い子宮内膜症が改善していき体質も改善していくのです。

海外生活での不安の中で、Rさんのように改善のためには何を自分が行ったら良いのか、なかなかその方法を見つけることは難しいものです。

そんな時、然るべきアドバイスと方向性を示してくれ、遠く離れていてもどこでも繋がっているネットワークが大切です。ご友人のネットワーク、専門家のネットワーク・・・、様々なネットワークが今ではネット上で検索しアクセスできるようになっています。自分にとって利用しやすく信用できるネットワークを誤りなく見つけることができると、安心してどこででも生活できることでしょう。

後にRさんから妊娠の報告がありました。安心して治療が続けられ、生活できることはとても大切なことですよね。

今のうちから

25歳Kさん。2年前に半年以上生理が来なくなったため、婦人科を受診すると多嚢胞性卵巣と診断され、未婚のため1年ほどピルを服用しての治療を受けました。

しかしそれでは根本治療にならないと感じたKさんは、他店で「温胆湯」、「八味地黄丸」、「晶三仙」などの漢方薬を始めました。しばらく続けてみたけれども効果がないように感じたうえに、今年の1月から無排卵の生理が続き、3月から微熱と不正出血が続くようになりました。

心配になったKさんは婦人科を受診。しかし原因を突き止めることもできず、特に問題がないので経過観察ということになったようです。

困り果てたKさんは、他の意見を求めたく当店に問い合わせをされました。

まずKさんの体質について、162cm、44Kgととても痩せ型、心配性、汗をかかない、浅黒い、尿やおりものが黄色い、口渇、食欲あり、多嚢胞性卵巣などから、今現在の微熱と不正出血が続いている原因は、「血熱」によるものであることがわかります。この「血熱」が改善すれば微熱も不正出血も治まることでしょう。

また体重が軽すぎることも少し気になるところです。ある程度の脂肪は、ホルモンバランスを整え、生殖機能を働かせるためには必要なものです。体脂肪が少ないことが美徳と思われがちな昨今ですが、体脂肪も溜めすぎると良くありませんが、適度な量は必要なのです。

ただKさんの場合は、本人が望んで痩せているわけではなく、食欲はあるものの身にならない体質で、そのことが初潮を遅らせ、性腺軸のコントロールに影響を及ぼしているようです。

またホルモン数値より、多嚢胞性卵巣であることに加えて、プロラクチン値も少し高めであることから潜在性の高プロラクチン血症の疑いも考えられました。

Kさんのように、様々な症状を持っている場合、粉薬や丸剤で調整しようとすると、たくさんの種類を服用しないとならなくなってしまいます。こんな場合は、煎じ薬が適しています。煎じ薬の中で様々な生薬を調整することで、Kさんの微熱、不正出血、多嚢胞性卵巣、無排卵などにターゲットを当て、改善を計ることができます。

まだご結婚もされてなく25歳と若いですので、今のうちから強い味方の煎じ薬にて改善を計られることをおすすめします。ただお値段が月に2万ほどかかってしまいますので、今の若いKさんにとってはかなりの負担かもしれません。

しかし今ここで早めに改善しておかなければ、後でもっと様々な治療でそれ以上の費用がかかってしまうことになりかねません。西洋医学的に問題がなくても、体調に不安や不調を感じたら、すぐに対処してください。そんな時には東洋医学が強い味方になってくれます!