ヨモギの話

昨日のヨモギの話を補足しておきます。

ヨモギは野山や土手、道端や空き地など至る所に群生している馴染みの草です。

草全体に独特の香りがあり、春先の若葉は草もちの材料として知られ、若葉や若芽は天ぷらにしても少し苦味があって美味しいものです。

ヨモギの主成分のタンニンには消炎作用や止血の収斂作用があり、切り傷の時には生の葉を揉んで貼っておくと効果があります。これは手負いの熊もヨモギの生葉を使って傷口の手当をしているといわれます!

その他、生葉を浴剤として、神経痛や湿疹・肌荒れ・保温などに用いられます。乾燥したもの<艾葉・ガイヨウ>を煮出して、痒みがある皮膚トラブルに浴剤として使われます。今はヨモギが含まれる入浴剤<ご湯っくり>も出ています。

漢方薬では止血薬として有名、不正出血などに<きゅう帰膠艾湯>を用います。

なにかと利用価値の高い野草ですが、いくら刈り取っても所構わず地下茎でぐんぐん繁殖して行くので、人によっては嫌な野草の一つでもあります。

社内研修会に草もち?

先の日曜日は20回目の社内研修会でした。

テーマは<頭痛>で、元病院長を講師とする直伝の勉強会です。すでに6年目となりました。

知識を詰め込んで賢くなった頭?にちょっと休息。滋賀県から参加されている先生の差し入れ「老舗の草もち」です。がぶっとかじると独特な香りが広がる春の味、この上ない美味しさです。

春の野山や土手、道端や空き地などの「よもぎ・蓬」が浮かんできます。これを乾燥したものが生薬名<艾葉・ガイヨウ>です。

なお、

草もちには若菜を用い

もぐさには乾燥葉を用い

止血薬には生の葉を揉んで用い

入浴剤としては端午の節句に昌蒲と一緒に入れる

温シップには乾燥した葉を用いる

などなど、利用価値の高い「よもぎ」ですが、やっぱりこの時期は草もちが一番!

これでまたカロリーオーバー、メタボが近付いてきました。

習慣性流産を乗り越えて

かわいい訪問者です。お母さんに抱かれ8ヶ月になるH君が来てくれました。

なんとお父さんが運転して2時間かけてきてくれたのです。感激です。春の日差しがまばゆい暖かな午後、店内はとても明るいハッピームードに変わりました。しっかり周りを見ては、ここはどこ?と確認しているようです。

お母さんのYさん、当店ご来店時は何回も繰り返す流産に身体も心も傷つき、漢方薬に救いを求められてこられました。

当店に来てすぐ妊娠され、あっという間に流産されてしまいました。4回目の流産で、いわゆる「不育症」です。その後Yさんは体質改善のため1年間避妊していただきました。その間、周期療法(月経期、卵胞期、排卵期、高温期)で体調を整えていただきました。そしていよいよ挑戦。妊娠はしましたが問題はこれからです。最後まで、挙児をえられるまでは本当に喜べません。

妊娠中も<婦宝当帰膠> <参馬補腎丸> <衛益顆粒>などを服用してきました。毎月毎月祈るような気持ちでした。もう少しで10週目に入ろうとしたときに羊水が減り始め、血圧が上昇したため、緊急の帝王切開、無事H君を出産したのでした。

今腕に抱いている子はまぎれもなくYさんの子。なかば諦めつつもどうしても授かりたい一心で漢方薬を1年半服用しました。その子が今はスイミングに通い、わらべ唄の会にも入って、集団の中順調に育ち皆から可愛がられているようです。

健康で大きくなって、家族揃って幸せになってくださいね。Yさんおめでとう!

H君生きることは大変だけどいろいろなことに挑戦して、わんぱくな男の子育ってくださいね。

相性が支えたもの…

「ご無沙汰しています。実は○月○日に無事元気な男の子を生みました。」道東にすむTさんからのお手紙です。

ビックリしたのと同時にとってもうれしさがこみ上げてきました。「へぇ~、出来たんだ!凄い!」本当に驚きました。

Tさんと初めてお会いしたのは今から6年前でした。大学病院で3年間不妊治療され、結果が出ずに漢方薬を求めてこられました。ご来店当初は多嚢胞卵巣症候群(PCOS)の診断名が付いていました。ホルモン剤の副作用で入院をされたり、AIHを5回しての来店でした。

平成14年~17年までの間にお住いを関西から北陸、道東にと変えられ、メールや電話、手紙でのやり取りをしてきました。周期療法と、なれない土地への不安感などカウンセリングしながらの5年間でした。

平成17年12月、メールで「来年いっぱいで不妊治療をやめようと思います」と伝えてきました。「漢方薬も服用してきたし、今度はもう一度西洋医学に頼ります。」と。その後連絡が無かったのですが、ずーっと気になっていました。そのTさんから、突然のメールで、しかもうれしいことに赤ちゃんが授かっていたのでした。

メールには地方では体外受精が受けられず道央まで出かけ入院しての治療だったようです。それは精神的にも物理的にも大変なものがあっただろうと推測しています。それを頑張り抜いて長年の夢を成就したのでした。本当に良かったです。

Tさんのことを考えて見ますと、粘り強く頑張ったこと、そこには<医師との相性>があったこと。「婦人科の先生はとてもよい方で、私にはピッタリ相性があいました。言たいこと、聞きたいことをなんでも話せる先生だったのです」この相性が彼女を支え、宝物が授かったのだろうと思います。

心優しいTさんは、私を気遣い「漢方との出会いが無かったら、この赤ちゃんは授からなかったと思っています。本当にありがとうございます」と言ってくれました。

本当に良かったです。おめでとうTさん!○○君!

双角子宮

先日ひょっこりKさんが店に来られました。なんとお子さんを連れておられます。

「あれっ? Kさんですよね。」 「そうです」 「いつ生まれたのですか?」 「半年前!」そんな会話が昔を思い起こさせてくれました。

Kさんは子宮の奇形で何回も流産を繰り返していたのです。しかし医師からは妊娠も可能といわれ、漢方薬を求めてこられました。今から3年前でした。

基礎体温は激しく上下し、周期も20日~26日と短く、非常にバラバラの体温でした。お話から「双角子宮」という子宮の奇形でした。

双角子宮の場合、軽い場合はStrassmann 手術、高度の場合はJones&Jonesu手術が行われるのが一般的ですが、Kさんは手術でなく漢方薬を選択し、来店されたのでした。

まずは月経周期を整える処方を半年間服用いただき、その後周期療法に切り替えました。子宮内膜の状況を良くするためのお薬や、35歳の高齢のため生殖能力を高めるお薬など、<婦宝当帰膠>をベースに服用してもらいました。

2年くらい周期療法を行い月経周期も整い、バラバラだった基礎体温表も2相性に整ってきた頃から、相談に来られなくなっていました。しかし、お聞きするとしっかり<婦宝当帰膠>を出産時も産後もずっと続けて服用していたとのことでした。そして、知らない間にしっかり男児を生んでおられたのには驚きました。

自然妊娠、しかも自然分娩で安産。「漢方薬のおかげです」と挨拶され感激しました。

昨年は単角子宮の方が無事出産され、また今双角子宮の方が出産し子供を抱いておられるのです。ほんとうに良かったです。漢方薬を勧めてて良かったとつくづく思うのです。

ヘパリン自主回収!

ヘパリンは血液凝固阻止剤として医療機関には無くてはならない大事なお薬ですが、この度、厚生労働省がヘパリン投与後にアレルギーなどの重い副作用がアメリカで相次いでいることから、ヘパリンを製造・販売している日本国内3社が自主回収を始めたと発表しました。

ヘパリンは豚の小腸からとった成分を精製して作る薬で、人工透析などに使われる重要な治療薬です。

また私たちが相談している不妊治療に、あるいは流産を何回も繰り返す方の原因の一つである<抗リン脂質抗体>にも使われています。「不育症」の治療に服用されている方もたくさんおられます。

自主回収されたら困る方がたくさんいますが、いったいどうなるのでしょうか?

このように副作用が強く重篤な症状が出るようなお薬で、赤ちゃんの身体は大丈夫なのでしょうか?私も心配になってきます。

漢方薬では胎盤の血流をよくして赤ちゃんに充分な血液を供給するため<冠元顆粒>や<田七人参>などを使います。

漢方薬の場合は植物が原材料ですので副作用が少なく安心して使うことが出来ます。ただ実験データーとしてのエビデンスがないのが残念です。臨床的に証明できればもっと普及することが出来るのにと思いつつ、「ヘパリン自主回収」のニュースを聞いていました。

男性不妊

Sさんのご主人は<精子先体反応陽性>による男性不妊のため 顕微受精(ICSI:イクシー)を勧められています。

精子先体反応とは精子が透明帯を通過するときに、精子の頭部からアクロシンという酵素を分泌し透明体を融解するのですが、この濃度が低いと受精が阻害され、不妊症になるというものです。Sさんのご主人は先天的にこの濃度が低いのです。そのため顕微授精(ICSI)しか方法はないということでした。

Sさんは43歳。基礎体温も2相性に整っており、IVFの準備が始まりました。年齢よりも若い卵巣機能で、刺激療法にも反応します。OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の予防をしながら、採卵~胚移植を目指しています。

そんなSさんには<シベリア霊芝>や<婦宝当帰膠>、<杞菊地黄丸>などの漢方薬でバックアップし、成功に導きたいと思っています。

抗リン脂質抗体

久々の掲載になってしまいましたが、これから続けて行きたいと思います。

今日は妊娠は出来るがすぐ流産してしまうという<抗リン脂質抗体>の例です。

YTさん32歳、4回の流産を経験されまだわが子を抱いていません。何とか次回は無事出産できるよう、そして元気な赤ちゃんを産みたいとの願いで漢方薬を求めて来店されました。

お聞きするとほとんどが7週~9週までの早期流産です。アレルギー体質で、小さい時からアトピーで苦労されています。検査の結果、<免疫性不妊>で<抗リン脂質抗体>が陽性でした。抗リン脂質抗体は自己抗体が引き起こす血栓性疾患で、血栓症や流産・死産との関係が深いとされて注目を集めています。YTさんも4回の流産の原因がこの抗リン脂質抗体陽性のため、赤ちゃんを成長させる血管が血栓症になり、赤ちゃんに栄養が行かなくなり流産してしまうのです。

抗リン脂質抗体で流産経験の有る方は、アスピリンを基本的に使用し、ヘパリンを用いて血栓を予防していくのです。

YTさんも4回目の流産から4ヶ月経過した後の妊娠で、うれしいはずですが不安が先に頭をよぎります。もう、心配でご飯も咽を通りません。

漢方薬は、免疫系を調整しながら、赤ちゃんが丈夫に育てられるような安胎薬を服用してもらいました。しかし、7周期目より出血が始まりました。慌てて医者に行くと、「血栓がおきるより出血した方がよい」といわれ、出血の量が多いのには大変驚かされ毎日毎日心配で夜も眠れない状態が続いたのでした。今は9週目ですが出血は止まっていません。

漢方薬では「気虚・お血」として捉え、<婦宝当帰膠>、<帰脾錠>、<双料参茸丸>、免疫調整のための<衛益顆粒>を服用してもらっていましたが、大量の出血はほぼ治まり、赤ちゃんは大きく育っています。このまま大きくなって、是非挙児を得られるよう祈る気持ちです!

おめでとうございうます

あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

今年もさらに研鑚を積み、皆様の願いを叶えられるよう一緒に取り組みます。

お正月には赤ちゃんの写真入り賀状がたくさん届きました、ありがとうございました。

漢方薬を服用され、中途で切れて気になっていたSさん、Mさん、Aさん、に赤ちゃんが生まれていたんです。「おかげさまで元気な赤ちゃんが授かりました。感謝しています」と。うれしいですね!

また、なかなかお目にかかれない遠くの赤ちゃんたち。成長した姿を賀状で見せていただきました。「ああこんなに大きくなっている」「もう七・五・三だったんだね」「弟ができてすっかりお姉ちゃんだ~!」「ポッター症候群でなくてよかった!」一枚一枚に、漢方薬を飲まれていたときの状況が思い起こされ、そこに私の思いが重なり感慨に浸り、至福の時を頂きました。本当に良かったと思います。

今年は、「赤ちゃんがほしい」と願う方たち全員に授かってほしいと切に望んでいます。昨年は漢方BABYが100人を越えました。今年はもっともっと漢方BABYが誕生しますように!

気になる肥満と不妊

肥満は排卵障害の原因になることはすでに知られていますが、一般に肥満女性に多嚢胞卵巣症候群(PCOS)が多く、月経不順や原発性・続発性不妊症のリスクを増加すると言われています。ただし、PCOSの方は必ずしも肥満ではありませんがやはり肥満が多いようです。

女性のBMI(体格指数)が35以上の夫婦は、正常値25の夫婦に比べて26%自然妊娠しにくく、BMIが40を越えると43%自然妊娠しにくいと言われています。

5年位前のこと、奥様の身長155cm、体重79kg、BMI35、ご主人は身長170cm、体重108kg、BMI37のジャンボご夫妻、Cさんが相談に来られました。

「まずは減量からスタートしましょう」とお2人に食事指導や運動療法をご指導しました。しかし、なかなか思うように減量せず困まったことを思い出します。

お2人とも3ヶ月で5kgしか減量できず、そのうちクリニックに行きだしてIVFに挑戦しだしました。もちろん基礎体温表(BBT)はガタガタ、一相性で無排卵です。その身体に排卵誘発剤や刺激療法をされていました。

治療始めてからますます肥え、基礎体温は見るも無残でした。「ホルモン治療よりまずはダイエットです!」の言葉も、 「赤ちゃんがほしい!」という想いの方が強かったのだろうと思います。5ヶ月くらいで来られなくなりました。もう少し知識があれば、先を見越したアドバイスができたのにと悔やまれます。どうされているのでしょうかCさんご夫妻。

肥満と生殖能力の関係はこれから解明されると思いますが、今流行の<メタボ>にならないためにも肥満は避けたいですね。今Cさんが来られたら、PCOS対策として「シベリア霊芝」「桂枝茯苓丸」「温胆湯」「防風通聖散」など<痰湿・お血>の改善に取り組み、肥満を解消させる方策を立てることでしょう。