「夫の精子がもう取れないのです。」「後1個、凍結卵が残っています。何とか最後の1個で授かりたいのです。どうしても…!」と相談を受けたのが1年前でした。
お話によると、結婚されて10年。ご主人の体調が悪くなる前にと採卵し体外受精を4回施行しましたが、全て失敗におわったそうです。
元気なうちにと貯めていた卵も少しずつ使い果たし、とうとう残り1個になってしまいました。「もう精子は取れないのです!」とても辛いお話でした。切羽詰ったTさんのお話に私も胸を詰まされる思いでした。
何とかしてお力になりたいと1年間<周期療法>で励ましてきました。①乱れていた基礎体温をきれいな2相性にする、②受精卵が着床しやい子宮環境を作る(子宮内膜を厚くする)と、方針を決めTさんと共に、基礎体温表の低温期の状況…、高温期の状況…体調を確認しながら、更にクリニックで子宮内膜の厚さを測定してもらいながら、体調を整え準備をしてきました。
「もう戻してもいいですか?更新の時期が来ているのですが。」「この内膜の厚さではまだ無理。後1個なんだから、よい条件で戻しましょう!」そんな会話が何回も繰りかえされました。
待ち望んでいた子宮内膜の厚さも、やっと7mm→10mmに整い、6月末とうとう最後の凍結卵を融解胚移植をしました。Tさんにプレッシャーを与えてはいけないと、あまり言葉には出しませんでしたが、やはりハラハラドキドキの結果待ちでした。
祇園祭のコンチキチンのお囃子と一緒に朗報が飛び込んできました。「先生、陽性でした!」2人で「良かったね~!!」を連発。「でもでも、まだまだ。心拍確認までは、慎重に…」と不安&安堵の会話でした。
その後私たちの心配をよそに、授かった命は順調にそだっています。(心拍も確認されました)小さな命が確認される超音波の写真をTさんはうれしそうに見せてくれます。
結婚して10年。36歳のTさんの笑顔。焦らずに待って待って得た笑顔でした。(今は元気な赤ちゃんが、無事産まれるよう保胎薬を飲んでいます)
